ヴィスコンティスフォルツァ・ゴールデンタロット。

10月20日にガイアブックス様より発行された『ヴィスコンティスフォルツァ・ゴールデンタロット』

 

すごいものが出てしまいましたね。この出版不況の時代にこの価格でいいんでしょうか。

 

豪華なボックス(マグネットが開閉するという芸の細かさ)、美術印刷で使うフルカラー印刷の上製本版による、メアリー・パッカード女史の解説書(この本だけでも単体で売ってほしい)、そして巨大なサイズのタロットカードに紫色のクロス付きという大盤振る舞いセットとなっています。
こんな豪華な本を4000円弱で売って大丈夫なのか、ガイアブックス様…。

 

 

 

 

 

 

 

世界最古にして15世紀のルネサンス期の芸術としても完成度が高く、最高と呼んでもいいであろうヴィスコンティスフォルツァ版タロットカード。
現在見つかっているタロットカードの中で最もカードの枚数が揃っているバージョンのものを元に足りないカードなどを補完して作成されています。

まずはこのカードですが。デカい。手に余ります。
リフルシャッフルやヒンズーシャッフルはできません。
テーブルシャフルしましょう。

実用性よりも美術的・コレクターアイテムとしての価値を重んじた…?と思いきや。
カードの紙質はとてもいい。
マットコートが掛かった紙はシャッフルをしてもよく混ざります。

カードの大きさはともかく、カードとしてはウエィト版との絵柄やマルセイユ版とも全く異なります。それもそのはず。このタロットは、占いの為のものではなく、名家ヴィスコンティ家の長女ビアンカ・マリアとミラノの傭兵隊としてその名を馳せていたスフォルツァ家当主、フランチェスコとの婚礼の祝いの為のものだったのです。
人物カードや大アルカナにもヴィスコンティ家やスフォルツァ家にゆかりのある人々がモデルになっています。
肖像画を描く以上に画家に世界で数組しか存在しないタロットカードを作らせるというおそろしいぜいたく品として作られたのでした。

それが時代が下って、ロマ(ジプシー)に伝わっていくのですから不思議ですよね。(身分で言えば貴族と貧民です)
また、タロットカードを描いた画家も少なくとも二人以上いると言われ、謎が多いカードです。
※いまだにタロットはトランプの原型という間違った知識をドヤ顔で披露してはなりません

カードの入っているボックスもシックで美しいですね。
タロットバックデザインも青と金と赤のヴィスコンティ家とスフォルツァ家の両家の紋章を上手くデザインとして組み合わせています。当時のタロット占いに逆位置を採用していたかは議論の分かれるところでしょうが、このデザインでは上下が分からないようになっています。
ただし小アルカナは後のマルセイユ同様、カードによっては正位置と逆位置が分かりにくい為あえて採用しなくてもよいのではないかと私は考えております。

 

 

 

大アルカナ・愚者~戦車までです。(画像使用はガイアブックス様に許可をいただいております)

金箔・青・赤・黄がさし色として入っている非常に美しいカードです。
壁に描かれたフレスコ画にも見えてきます。
ウェイト版のような見知ったカードデザインとは大分異なります。
特に法王の纏う法衣は普通は赤ですが、ここでは青です。
ヴィスコンティ家の紋章である三つのダイヤモンドリングを象っています。
実際ヴィスコンティ家は過去にローマ法王を送り出した名門中の名門です。
栄光と栄華をカードにも残したのでしょうね。

実際に占いとしてカードを使った時はどうなのか?
やはりカードが大判であるだけに通常の鑑定では使いにくいかもしれません。
ですが、私はこのカードを使ってクロス・スプレッドを使い自分の事を見た時、驚くほど的確に答えを出してくれました。
ただ、イタリア15世紀の大貴族のカードです。占うテーマも自分自身の事を見るほうが向いているかもしれません。
貴族や法王のような『貴人』と呼ばれるような人たちが神に代わって神託を与えてくれるカード。
これがヴィスコンティ・スフォルツァ版タロットの魅力かもしれません。
よりよい自分や、上昇志向を持つ相談に対して当時の成功者たちからメッセージをもらう。
このカードはそんなカードかもしれません。
要望があれば、ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロットの解説並びにレッスンをやりたいところです。

このブログは禁・無断転載です。画像もガイアブックス様に帰属しますのでご注意ください。