タロットの『塔』とルノルマンカードの『塔』の違い。

同じタイトルでありながら

全く意味が異なる為
タロットを学習した方も
ルノルマンカードの学習をした方ももれなく
迷うのが

『塔』

こちらがタロットの『塔』。
破滅や破壊を表す最悪のカードとして知られています。

 

 

こちらがルノルマンカードの『塔』。
タロットの塔に比べて堅牢さが目立ちます。
元の意味は『公共機関・国・地方公共団体・孤独』など。

意味が全く異なっています。
同じ塔でありながら?

 

これはカードが示す塔が全く違う事が理由です。

タロットカードに描かれた塔は
神の怒りを買い
墜落し、破壊された都市
バビロンの都に建っていた
バベルの塔と言われています。

 

ではルノルマンカードの塔は何か?

 

これはルノルマンカードの発祥地
オーストリア。
ピアトニック社の所在地
ウィーンには
ハプスブルク帝国の偉大な女王
マリア・テレジアの愛したシュロスホーフ城があります。

かつては偉大な女王が愛した離宮ですが
19世紀末、ちょうどピアトニック社が
ルノルマンカードを作成したころには
軍事拠点として城は使われていました。

美しい城は優雅さの象徴から
堅牢なる要塞に姿を変えていたのです。

またしばしばオーストリアの一大帝国
ハプスブルク帝国は異民族の攻撃を受けてきました。

ペストに国が襲われた時は国民を避難させる場所として
高い塔のある城が使われていたのです。

おそらくこの城や塔のイメージが
『国家・公共・孤独』という
ルノルマンカード独自の意味を生んだのでしょう。

 

余談ですが
タロットカードの塔は
フランス語では
『 La Maison Dieu』神の家。
修道院、つまり病院を指す言葉とされ
カードの意味にも入院や病気(アクシデント)
を指すものが含まれていますが

実は誤植で
『La Maison de Feu』 「火事の家」であったと
いう話がありますが
神の家、の方が寓話的で面白いですよね。

 

同じ塔でも意味が全く異なるカードには
それぞれの背景が生きている。

いつかオーストリアに行き
ルノルマンカード生誕の地を
尋ねてみたい私なのでした。